人狼TLPT X 新選組外伝 ~払暁の狼~ 第7ステージ(2017/5/21 18:00)

“これより始まるは……今をおいて他にない、たった一度の物語。” 

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 人狼ゲームとはなんぞや?って部分は置いておいて。

 人狼を舞台でやるってどんなのなんでしょーと試しに第1ステージのニコ生チケット(1,500円)を買ってみて、仕事の傍らで流してみてたんです。

 この時軽く思っていた私に言いたい。そんな軽い気持ちで見てみるもんじゃねえ、と。それから4日後(くらい)、そこには会場に足を運ぶ私の姿がーー!

 

 軽く説明すると、オープニングというか導入部分までは基本的に全ての公演で同じ=脚本あり、なのですがこの中に人狼がいるよー話し合って見つけてねーっていう説明がされた以降、一切脚本がありません。本気で役者たちが人狼ゲームをしている、ただそれだけです。

 ただし今回の公演は「新撰組外伝」と銘打っているだけあり、登壇する役者たちは歴史上の人物を演じながら人狼ゲームをすることになります。新撰組より近藤勇土方歳三永倉新八斎藤一薩摩藩より西郷隆盛西郷従道大久保利通村田新八長州藩より桂小五郎久坂玄瑞高杉晋作伊藤俊輔、そして土佐藩より中岡慎太郎の合計13名*1。オープニングのお芝居で皆で仲良くするぞー(すごい乱暴)となって酒を酌み交わし、そして夜が訪れーー朝が明けた時に13名に知らされます。『人狼がこの中に潜んでいる』と。そして、その人狼を打ち倒すには1人づつ処刑していくしか無い、と。彼らにとってはゲームではなく、真実脅威との闘い、というか。

 そしてここで幕末の設定が生きてくるんですね。『処刑』ではなく『切腹』にさせてくれやしないかと中岡が提案し、それを皆が受け入れる。そのため処刑タイムにおける覚悟の叫びと、介錯人との絆のシーンが生まれていったように感じます。

 

 さて、本題です。ゲームの内容については公演サイトにログとして公開されていましたが、結論から言うと人狼陣営のストレート勝利でした。人狼陣営は土方・桂・大久保、そして狂陣*2は高杉。

 襲撃対象及び切腹対象は以下の通り。

 1日目:-/近藤勇(人間)

 2日目:西郷隆盛(人間)/伊藤俊輔(人間)

 3日目:久坂玄瑞(霊媒)/村田新八(預言者)

 4日目:-/中岡慎太郎(人間) ※狩人により高杉への襲撃阻止

人狼陣営はお見事としか言えない誘導、そして議論のかき回しでした。ただ、1日目か2日目かな?土方がずっと「~という提案を続けないのであれば、今後俺を疑いの対象から外せ!」と、わやわやーっとしている中で軽く叫んでいた所がどうしても気になっていて、私の中ではずっと『黒』でしたがそれ以外の狼を見事に外しました…w

 

 結果についてはこんなところで、観劇の感想です。

 

 元々桂小五郎役の三上俊さんを見たくて観劇をしに行ったようなものなので、主に長州藩を見ていたのですが……2日目の伊藤俊輔切腹のシーンが『凄まじい』としか言いようがなく、見ていて知らぬ間に涙がぼったぼたに流れ落ちていました。

 この2日目の切腹は決選投票であり、最終的に狼である大久保と、人間である伊藤との二択。ただ、ずっと伊藤は西郷(弟)と大久保が怪しい、と言い続けていたんですね。一応最初の投票は票がばらけながらも最終的にこの2人に4票づつだったかな…集まってしまって決められなかったので決戦投票。

 全員で指差そうとなり、せーので指差した結果は……桂・高杉のみが大久保を。それ以外の全員が伊藤を指差していました。

 そう、狼である桂、狂陣である高杉は伊藤へ指をささなかった。同じ長州藩である久坂は伊藤を指差していたのに。それがわかった瞬間の桂の「久坂ァ!!!!!!」という…もうこれは怒号と言っていいくらいの声。この時、正直桂が何を思って伊藤を指ささなかったのか、久坂に怒鳴ったのか。全部信じさせるための演技だったかもしれませんが、それは見ている私たちの解釈に委ねられているのだと思います。

 そして、そこからの伊藤の切腹。今でも詳しいレポを読むだけでも涙が出てきて仕方ないんですが……。

 伊藤が切腹をする前…長州藩だけにしてやろう、と他陣営が去っていく中での「逃げんな!!お前らが殺すんだ、観てけよ!!!!!」という伊藤の言葉で一気に涙が溢れて。またそれに新撰組が「お前が人狼(既に人ではない)と思っているから投票したんだ」と答えて去っていくんです。それに更に吠える伊藤…そして彼を後ろから抱き留め、静止する高杉……座ったままの桂。楽しいことだけを思い出そう?そう言う高杉に、やっぱり、楽しいことだけ考えるのは無理だと、悔しい、悔しいと叫ぶ伊藤。無言で高杉に自らの刀を差し出す桂、その刀を受け取り介錯のために伊藤の背後に立つ高杉。……けれど、伊藤は自らの首を掻き切ったため、介錯すら、できなかった。

 私はこのお芝居で、彼が絶対に人間だと確信できました。たとえこれが人狼としてのお芝居だったとしても、それは伊藤を演じた渡辺隼人さんという俳優さんに騙されて本望だと思うくらいの、魂の叫びだったと思います。悔しい、悔しい、と。やばい、書いていて涙が出てきた。笑

 この伊藤俊輔役なんですが、こう…なんというか、阿呆だけど直感が鋭いワンコ、のような役作りをされていて。とにかくかわいいんですよね。それなのに、あんなに激情剥き出しのお芝居は中の人と、伊藤と、2人の悔しいという気持ち。ゲームとお芝居ってあんなふうに重なる事ができるんだ、と思いました。

 

 ちなみにこの2日目処刑後、恐らくあまりにも会場が泣きすぎていたせいなのか夜~朝までの霊界タイム*3で、霊界進行役の山崎烝くんに「涙は袖で拭け!!」と叫ばれてしまいました。笑

 今になって思うと、桂にとっての勝利は長州藩を処刑させずに勝利、ということもあったのかなぁ、と思うような。人狼に「弱者」として、けれど人からは一切の疑いなく死んでいくことと、人に疑われた結果としての「武士」としての切腹はどちらの方がよかったんだろうかと。そんなことを思ってしまいますね。真実は役者さんがたの心のうちに。

 

 えらく2日目処刑の場面で文字数取ってしまったんですが、他にも沢山いいシーンありました。

 1日めの近藤処刑時、提案される前からスッと正座に正していた桂とか。一応外来語(カタカナ)禁止なのにクロストークって言いそうになっちゃったり。ヘイトって言っちゃったり。葉っぱ隊の動きをする永倉とか。霊界タイムでだいたい奥舞台の階段で並んで座ってる近藤と西郷(兄)とか。きょくちょぉ~~~~~って叫びながら霊界タイムで登場する山崎*4に、中々起きない近藤とか。裾捌きがめっちゃ色っぽい村田とか。俺が新撰組だ!って言う土方とか*5

 全部伊藤切腹に持って行かれてしまったような気もしますが、それでも全部が全部大事な要素で、それらが集まってこの第7ステージでした。このステージが初観劇で、本当に良かったです。

 

 

 

良ければオープニング映像だけでも。とってもかっこいい!

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*1:毎日この13名ではなく一部日替わりです。ニコ生で見た1stでは土方ではなく山南でしたし

*2:この新撰組では人の字ではなく陣を使っていましたね

*3:死んでしまった人たちの自己紹介時間と、人間とか狼とかの正体バラシタイム。この時間の間に人狼は次の襲撃対象を決め、他役職も仕事する

*4:死ぬほどかわいい

*5:FGO?それともこの台詞って史実にあったんだろうか……不勉強です